OSS信頼性の評価 – QualiPSoコンピテンシセンター

公開日時: 2010-12-24 15:35

信頼性評価の重要性

ITシステムの基盤としてOSSが利用されることが、当然の時代になってきました。WEBアプリケーションサーバーや組み込みシステムではすでに広くOSSが使われてきていますし、その他の分野でもシステム全体や一部のコンポーネントとしてOSSの活用が広まっています。

このように広くOSSが活用されるようになってきている中で、OSSの信頼性は、ますます重要な要素になってきています。製品自体の信頼性は当然ですが、長期に渡って使用するシステムとしては、他の様々な要素も評価しなくてはなりません。OSSは、従来から「無担保・無保証であるが自由に使ってもらって構わない」というライセンスのもとに広がってきた歴史があります。そのような状況から、開発は今後も継続されていくのか、問題があった場合に開発コミュニティが積極的に助けてくれるのか、法的問題はないのか、メインテナンスは容易なのか等の様々な問題提起がなされているのも事実です。

QualiPSoプロジェクト

ヨーロッパを中心としたQualiPSoプロジェクトは、このようなOSSの信頼性の問題にフォーカスを当てた調査・研究プロジェクトとして、2006年から4年間の計画で始まりました。QualiPSoでは、特に以下の分野にフォーカスを当てて活動が行われています。

  1. OSSを取り巻く法的問題
  2. OSSのビジネスモデル
  3. OSSの情報管理
  4. OSSの相互接続性
  5. OSS製品の信頼性評価
  6. OSS開発プロセスの信頼性評価
  7. OSS開発プロセスの改善(新しいリポジトリの構築)

QualiPSo1.png

信頼性の評価

OSSの信頼性を評価する試みは、すでにいくつか存在しています。OpenBRR、QSOS等です。QualiPSoでは、既存のOSSプロジェクトや、OSSを利用しているSIerに、数多くのインタビューを行って、信頼性の評価要素を洗い出し評価モデルを策定しました。QualiPSoプロジェクトの成果としては、以下の3つの評価モデルが提起されています。

  1. 製品の品質評価モデルとしての、MOSST
  2. プロジェクトポータルサイトの評価モデルとしての、OP2A
  3. 開発プロセスの評価モデルとしての、OMM

QualiPSo2.png

また、これらの評価モデルを補足し、定量的な評価をおこなうための各種のツールの調査・整備も行っています。これらの活動の成果は、QualiPSoプロジェクトのサイト(www.qualipso.org)にて公開されています。

評価モデルの活用

QualiPSoでは、評価のためのモデルを定義して、評価に必要な要素を洗い出していますが、それを利用して、実際にどのように評価を行うかの基準や方法については、定義されていません。この評価モデルをはじめとするプロジェクトの成果を活用するために、QualiPSoコンピテンシセンターが組織されました。現在、IPAを含め、世界7カ国にコンピテンシーセンターが設立され、その活動を行っています。

集合知と評価手法 – オープンスタンダードに向けて

OSSの信頼性の評価においては、その結果も重要ですが、それ以上に評価過程で集められたデータの共有も重要な要素になります。OSSがここまで発展した最大のドライブ・ファクターは、集合知だと言われています。誰かが行った開発やその過程をオープンにすることで、後から参加する人や利用者が再度それらを行う必要がない、新たな知識がどんどん積み重なっていくことで、大きな成果がでます。評価についても同様で、評価をオープンな形で実施していくことで、重複する作業を減らし、評価の過程を客観的に検証できるようになります。

現在、IPAオープンソフトウェアセンターでは、「評価モデル」ワーキンググループを組織し、OSSの信頼性の評価手法について、調査・研究を行っています。上記のような点を踏まえた、オープンスタンダードとしてのOSSの評価手法を確立・活用することを目指して活動を行っています。